02
2020-09
ニジマスとヤマメ
こんにちは。
KT-11研究員です。
アッという間に今年も9月ですね。
さて、先日生物工学会誌を読んでいたところ興味深い記事が。
-『バイオミディア』第98巻(2020年)
「ニジマスを産むヤマメ」というタイトルで、筑波大学林先生が執筆したものです。
ヤマメもニジマスも広義でいうとマスの仲間になります。厳密にはトラウトと呼んだほうが良いのかもしれません。
ニジマスは、管理釣り場や河川など、日本国内で全国的に生息している淡水魚ですが、一部の個体は降海して回遊した後、河川に帰ってくるものもいます。
まさに、鮭と同じですね
しかし、ニジマスはそもそも日本にはいない外来魚です。
日本での歴史は関沢明清により1877年にアメリカ合衆国から食用として持ち込まれたとされています。これ以後、各地の渓流や湧水地帯で養殖、放流が盛んに行なわれた結果、繁殖し、生息域を広げたと考えられています。
今回は、生物工学的な技術によってヤマメがニジマスを産むという知見の紹介になります。
ヤマメがニジマスを産む技術をなぜ必要とするのか。
本文の中で、残念ながらヤマメにニジマスを産ませる必要性については触れられていなかったのですが、このような、他種の生物にほかの生物を産ませる技術として、絶滅危惧種の保全や水産業の安定化技術の構築を目的に開発していることが多いようです。
今回の研究は、後者に該当するのではないでしょうか。
将来的には、絶滅の危惧が叫ばれているクニマスの保全や、最近近畿大学の養殖で話題になったクロマグロなどの養殖技術にも生かされるのかもしれません。
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健康食品・サプリメントや加工食品に配合可能な
31
2020-08
肉の未来はどう変わるのか
こんにちは。
KT-11研究員です。
8月もいよいよ終わりですね。
さて、2020年からあの超一流論文誌「Nature」に食品専門誌が創刊されたことをご存じでしょうか。
その名も「Nature Food」
どれくらいのインパクトファクターが付くのか楽しみです。
そのNatureに掲載された論文の中で、興味深い論文があったのでご紹介。
食品、とりわけ畜肉業界にいる方は勿論ご存じでしょうが、培養肉については先進国を中心に様々な研究機関や大学で培養肉の研究が進められています。培養肉とは、肉を構成する細胞をラボの中で培養・増殖することで、将来家畜を育成し、殺傷しなくても肉を生産できるのではないかと期待されている技術のことです。
タイトル
Food science: Beefing up cultured meat
今回ご紹介する論文では、培養肉の生産に用いる食用の足場材料の新しい作製方法について報告する論文がです。
細胞は平面的に増殖するために、私たちが食べている肉のように立体的な構造をとることは非常に難しい技術です。
今回の論文では足場材料は、組織状ダイズタンパク質から作られており、人間が食べる牛肉に似た製品の生産に用いることができるようで、この牛肉似の製品は、暫定味見試験で、好成績をあげたとのことです。
培養組織の作製には、3次元の足場材料が必要で、これが、作製された細胞の支えとなり、動物の筋肉が成長する環境を模倣します。また、この足場材料は、食用に適していることと適切な栄養価と食感が必要とされています。
今回の研究結果は、培養肉をスケールアップして、人間が消費するタンパク質の新たな供給源を生み出して、畜産への依存を減らすための手段をもたらすと考えられると著者たちは結論付けています。
培養肉は、まだまだ実用化には程遠いと言われていますが、着実に前進している印象です。
数十年後には間違いなく実用化される研究だと思います。
実用化されたとき、これまでの生産方法、加工方法や調理方法は通用するのでしょうか?
産業はどのように変化するのでしょうか?
ラボで、サシが入った柔らかい切り身が生産できてしまう世の中が到来するのかもしれません。
デジタルカメラ技術が生まれ、カメラフィルムが衰退したように、新しい革新的技術を他人事のようにとらえていると、技術のトレンドにたちまち置いてかれてしまうでしょう。
常に先を見据えて最新研究の動向にも留意しなければと思う今日この頃でした。
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29
2020-08
腸の病気
こんにちは。
KT-11研究員です。
安倍首相が辞意を表明しました。
その退任理由とされているのは安倍首相の健康問題。持病である潰瘍性大腸炎の再発・悪化と言われています。
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍やびらんなどの慢性的な炎症が起こる病気です。腸の難病と呼ばれるクローン病とならび、炎症性腸疾患の代表的疾患として知られています。
1975年から厚生労働省の特定疾患に認定されており、潰瘍性大腸炎と診断された患者さんは治療費が公費で補助されます
実は、潰瘍性大腸炎の原因や詳細なメカニズムについては、現在のところあまりわかっていません。
消化管の炎症は、遺伝的な要因や環境要因などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果として起こると考えられています。
一部の患者さんでは、近親者に炎症性腸疾患の家族歴が認められ、潰瘍性大腸炎の発症に関連すると考えられる遺伝子は、数多く同定されています。
近年では、ヤクルトがビフィズス菌飲料を炎症性腸疾患の患者に飲用させると再発を抑制できることを報告するなど、プロバイオティクスによる炎症性腸疾患の改善効果に注目が集まっています。
https://www.yakult.co.jp/institute/report/pdf/science_No4.pdf
当社のビフィズス菌KMH0001はおなかの調子を整え、炎症を抑えることが分かっています。
炎症性腸疾患の予防改善が期待できるかもしれませんね。
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