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2022-08
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その2~
こんにちは、KT-11研究員です。
前回のブログでは、クリスパタス菌KT-11の活性成分について書きました。
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その1~ - 新ブログ - BLOG - KITII|株式会社キティー
今回もその続きを書きます。
★前回のポイント★
①クリスパタス菌KT-11は培養することで菌体同士が凝集すること。
②クリスパタス菌KT-11の凝集性はSLPによるもので、ほかの乳酸菌と比べてSLPの量が多い、もしくは特徴が異なるのでは、と推察。
この段階では、クリスパタス菌KT-11の免疫活性がSLPに起因するという確証はありませんでした。事実としては、ほかの乳酸菌よりも免疫活性が強いということのみ。。
そのような中で、2008年にイタリアの研究グループが発表した、乳酸菌の持つSLPがT細胞と樹状細胞の免疫系を調節するという論文を見つけました。
もともとLactobacillus acidophillusとクリスパタス菌(Lactobacillus crispatus)は近縁種の乳酸菌だったため、この論文がクリスパタス菌KT-11の免疫活性成分はSLPではないかと考え始めたきっかけとなりました。
一方、2000~2010年代の国内の学会では、乳酸菌のプロバイオティクスに関する研究が活発に行われていました。とりわけ、乳酸菌の腸管定着性については、乳酸菌のもつSLPが腸管ムチンの糖鎖を認識して結合することが重要であることが分かっていました。
ところが、ある研究者が乳酸菌をリン酸緩衝液でリンスすると、その結合性が低下することを話していました。乳酸菌が持つはSLPは、塩やキレート剤で容易に菌体から剥がれ落ちることも経験的に知られていましたので、クリスパタス菌KT-11の免疫活性成分がSLPであるならば、塩で洗うと活性は消失するのでは?と考えたわけです。
実際にその実験が以下のデータです。
出典:一部改変
尿素やグアニジン塩酸塩で洗浄したクリスパタス菌KT-11は、無処理のクリスパタス菌KT-11と比較して、マクロファージによるIL-12産生を低下させることが分かったのです。
すなわち、クリスパタス菌KT-11のSLPが、その免疫活性に大きく影響していることを示唆するものとなったわけです。
その後、クリスパタス菌KT-11のSLPが、マクロファージに発現するトール様受容体に結合することを突き止め、アメリカの学術誌「Journal of Food Biochemistory誌」に論文が掲載されたことは記憶に新しいところです。
つづく