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2020-08
肉の未来はどう変わるのか
こんにちは。
KT-11研究員です。
8月もいよいよ終わりですね。
さて、2020年からあの超一流論文誌「Nature」に食品専門誌が創刊されたことをご存じでしょうか。
その名も「Nature Food」
どれくらいのインパクトファクターが付くのか楽しみです。
そのNatureに掲載された論文の中で、興味深い論文があったのでご紹介。
食品、とりわけ畜肉業界にいる方は勿論ご存じでしょうが、培養肉については先進国を中心に様々な研究機関や大学で培養肉の研究が進められています。培養肉とは、肉を構成する細胞をラボの中で培養・増殖することで、将来家畜を育成し、殺傷しなくても肉を生産できるのではないかと期待されている技術のことです。
タイトル
Food science: Beefing up cultured meat
今回ご紹介する論文では、培養肉の生産に用いる食用の足場材料の新しい作製方法について報告する論文がです。
細胞は平面的に増殖するために、私たちが食べている肉のように立体的な構造をとることは非常に難しい技術です。
今回の論文では足場材料は、組織状ダイズタンパク質から作られており、人間が食べる牛肉に似た製品の生産に用いることができるようで、この牛肉似の製品は、暫定味見試験で、好成績をあげたとのことです。
培養組織の作製には、3次元の足場材料が必要で、これが、作製された細胞の支えとなり、動物の筋肉が成長する環境を模倣します。また、この足場材料は、食用に適していることと適切な栄養価と食感が必要とされています。
今回の研究結果は、培養肉をスケールアップして、人間が消費するタンパク質の新たな供給源を生み出して、畜産への依存を減らすための手段をもたらすと考えられると著者たちは結論付けています。
培養肉は、まだまだ実用化には程遠いと言われていますが、着実に前進している印象です。
数十年後には間違いなく実用化される研究だと思います。
実用化されたとき、これまでの生産方法、加工方法や調理方法は通用するのでしょうか?
産業はどのように変化するのでしょうか?
ラボで、サシが入った柔らかい切り身が生産できてしまう世の中が到来するのかもしれません。
デジタルカメラ技術が生まれ、カメラフィルムが衰退したように、新しい革新的技術を他人事のようにとらえていると、技術のトレンドにたちまち置いてかれてしまうでしょう。
常に先を見据えて最新研究の動向にも留意しなければと思う今日この頃でした。
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鶏肉・豚肉・牛肉やお魚・貝類など
健康食品・サプリメントや加工食品に配合可能な